3月4日、息子夫婦に待望の第一子・男児が生まれました。17時過ぎ、妻と共に御茶ノ水駅から徒歩数分の産院を訪れ、新生児室のガラス越しに初孫と対面しました。紅潮した顔をくしゃくしゃにして泣き出したかと思えば、潮が引くように穏やかな表情をとり戻します。生後3時間しか経っていないというのにその表情は刻々七変化、産着の袖が邪魔だと言わんばかりに手足を活発に動かします。見ていて飽きることがありません。ベビーベッドのヘッドに取り付けられた名札には、お母さんの名前、生まれた日時、身長、体重が書き込まれていました。写真(下)のように、産院が「神田の生まれ 江戸っ子証明書」と立て札を掲げています。産院の所在地は神田駿河台ですから、これから三代続けばチャキチャキ(生粋)の江戸っ子になれるというわけです。吉祥寺生まれの息子は、残念ながら「江戸っ子」を名乗るわけにはいきません。
外科医で多忙を極める息子が分娩に立ち会ったと知って少し驚きました。退院するまで、ほぼ毎日勤務先と産院の往復で息子は消耗し切ったのでしょう。「お七夜」を迎え開会の挨拶が済むと、めっきり口数が減り、睡魔と戦っているように見えました。振り返れば、我が妻は陣痛が始まるとひとりで産院に向かい、自分が産院に着いたときにはもう出産は終わっていました。家庭より仕事優先の当時、事実上、育休などありませんから、子育ては徹頭徹尾妻のワンオペです。妻には本当に苦労のかけっ放しでした。それに比して、出産直後からの息子のイクメンぶりには頭が下がります。
2023年に生まれた子どもの数は75万8631人。コロナか8年連続の減少です。第一次ベビーブーム(1947-1949)の3年間800万人迫る子どもが誕生していた時代とは隔世の感があります。岸田政権の最重要課題が子育て支援であるのも当然成り行きです。<少子化>では全くもって舌足らず、<超少子化>と言い換えるべきでしょう。
母子共に出産から4日後に退院。今はずいぶん退院が早いようです。6日後の日曜日、里帰り先マンションのパーティルームで両家が集い、「命名式」を兼ねた「お七夜」を迎えました。息子夫婦には、出産祝いと共に孫の名前を墨書した色紙(額装)と干支に因んだドラゴンの「ダンパーケーキ」を贈りました。怒涛の1週間を乗り切った新米ママが目を輝かせて喜んでくれたので、こちらも知人の筆耕さんに「命名書」をお願いするなど奔走した甲斐がありました。
思えば、30代の頃、地方に住む母と義母が相次いで早逝し、息子ふたりには、出産後の節目節目で行き届いたお祝いができませんでした。そんな負い目から、孫の健やかな成長を願って、「お七夜」や「お宮参り」に始まる一連の伝統的お祝い行事を、可能なかぎり家族揃って、挙行していきたいと考えています。五節句をはじめ季節の節目の行事然りです。勿論、母子の健康が最優先です。家族が増えることは本当に嬉しいものです。授かった命を大切に育んでいければと思っています。